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活動レポート
2022.08.12 福島 楢葉町に戻った子どもたちの新たな居場所を目指して【NPO法人底上げ】~新・助成先団体紹介 vol.1~

2022年度、13の団体がハタチ基金の助成先に決定しました。今回ご紹介するのは新しく加わった団体の一つ、「NPO法人底上げ」です。底上げは、東日本大震災発生直後から、宮城県気仙沼市を中心に現地の復興ボランティアや学習支援を行ってきました。2022年4月より、福島県楢葉町で子どもの居場所づくり事業を新たにスタート。その活動は皆さんからいただいた寄付によって支えられています。

新規事業を立ち上げ運営する底上げの日野涼音さんから、活動内容の紹介とメッセージが届きましたのでご紹介します。

日野涼音(ひのりょう)さん

1999年生まれ。山形県山形市出身。高校時代、地域活動を通じて地域のことをもっと学びたいと思い、東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科に入学。大学1年時に福島県楢葉町で1か月間インターンを行う中、福島浜通りに巡り合う。浜通りで生きる人たちの想いに惹かれ、この町で暮らしていくことを決める。2022年4月より、NPO法人底上げに入り、浜通りで過ごす子どもたちや、地域の大人たちが豊かで少しでも楽しく暮らせるような居場所づくりを目指し活動をしている。

■4年半 人が立ち入れなかった楢葉町でスタートした“創作活動を通じた居場所づくり”

福島県楢葉町は、東日本大震災当時、福島第一原子力発電所の事故の影響で4年半の全町避難を行いました。2015年に避難指示が解除され、2017年に小中学校やこども園が再開した後は、年少人口の数も年々上昇傾向にあり、子どもたちの数は増えつつあります。
一方で、習い事の教室が少なく、学習塾もないため、車で40分ほどかかる近隣のいわき市に習い事のために行っている子どもたちもいるそうです。子どもたちが楢葉町の中で、多様な学びの機会や、学校や家庭以外の居場所がないことが課題となっています。

そこで私たちは、この町で過ごす小中学生たちに、学校だけでは学びきれない地域の魅力を見つけたり、自分自身の興味関心に向けてひたすら探究・創作できる機会をつくろうと考えています。フリースペースや、日常での子どもたちとのつながりを通じて、子どもたちと地域の大人の接点が多様になり、子どもたちの居場所の確保と愛郷心を育む機会を作りたい。ハタチ基金の助成をいただき、2022年4月より活動を開始しました。

昨年度の活動の様子

■地域の大人たちにも支えられる中での試行錯誤と希望

活動を始めたばかりで、まさに今、子どもたちとの関係をつくり始めているところです。
まずは、子どもたち自身が、自分で選んで過ごし方を決められる環境をつくることが大切だと考えています。無邪気に遊んでいる姿を見たり、子どもたちと話をしながら、一緒に楽しめる環境をつくりたいと思っています。みんながどんなことに興味を持ったり、楽しいと感じるのかを探りながら、小さいことを一緒にやってみることから始めています。
また、街の中に子どもたちが自由に過ごせる拠点をつくり、子どもたちが街へ出るきっかけをつくりたいと考えています。そこでは、子どもたちが自由に創作できる環境を整え、子どもたちがつくったもの、描いたものなどを地域へ発信する機会もつくっていきます。

そんな中、楢葉町の方々に拠点をつくりたいという話をしたら、今は使われていない商店のスペースを貸してくださることになりました。私たちが考えていることに共感し応援してくれているため、とても心強く支えられています。

これからお借りする予定の元商店

外から来た人間が単独で行うのではなく、地域の人たちと一緒に事業を育てていくことで、その土地に根付いて持続可能な活動になる。その第一歩となるような希望と可能性を感じています。今後も、地域の人との関わりを大切にしながら、子どもたちと一緒にみんなが楽しめる居場所をつくっていきたいです。

寄付者の皆さんへのメッセージ

私は、楢葉町の人たちから、当たり前の日常の大切さを教えてもらいました。まだ歩み始めたばかりで至らない点がたくさんありますが、平穏な日常がいかに大切なものかを噛みしめながら一人一人の子どもたちと向き合っていきたい。この町で暮らす子どもたちと、共に考え、感じ、一緒に成長して、一緒にもっとこの町を好きになっていきたいと思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。

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