2016.01.19
2022年6月、福島県南相馬市に地域で暮らす子どもや若者の居場所「原町リトリート」がオープンしました。この施設は、家でもない、学校でもない、第3の居場所となるように作られました。放課後に寄って宿題をしたり、ほっと一息つく場所として利用をしたり、地域の人たちと一緒にイベントを開いたり、用途は様々。福島県東部、太平洋の沿岸部を位置する相双地区での子どもや若者の居場所事業は初めての試みです。
ハタチ基金の助成先団体とひとつ、NPO法人トイボックスは、震災後からこの地域で被災した子どもたちや地域の人たちを支え、コミュニティづくりを行ってきました。新たな施設をオープンさせた思いをご紹介します。
震災から11年経った今もなお、その影響は福島の子ども達の日常にも影響を与えています。相双地区では、UターンやIターン、世帯分離等、環境に変化がある家庭が多く見受けられます。家庭環境の変化の中で、学校生活や地域での暮らしに馴染めない子どもや若者は、自分のペースで過ごす時間を持つこと自体が難しくなりがちです。
また、人口の少ない地域では、地域に見守られる安心感がある一方で、他人の目がどこにあるのかわからない不安もあります。そのため、世間体を危惧する大人のはからいで、子どもたちの行動範囲を制限してしまうこともあります。
私たちは、 子どもたちがのびのびと自分らしく過ごせる場所にできたらと考えています。
原町リトリートは、南相馬市に住む子どもや若者を対象とした場所です。基本的には利用登録をした後の利用となりますが、利用登録がなくとも気軽に参加できる催しもあります。
家でもない、学校でもない、第三の場所を、それぞれのニーズにあわせて利用していただけます。
家では穏やかに過ごせるように、夏休みの宿題をする場として原町リトリートを利用予定の子どももいます。
ひきこもり状態から生活環境を変える決断をした若者が、ほっとできる場所を確保するお守りがわりに利用登録することもありました。ある女の子がふらりと訪れたこともありました。
そのくらい気軽な場所になって私たちも嬉しいです。少しずつ、地域の子どもや若者の居場所として動きだしています。
こうして震災後の地域の状況にあわせた活動ができているのも、皆様が関心を寄せ続けてくださり、ご支援いただいているおかげです。心より感謝申し上げます。
今後とも子ども達へのあたたかい見守りとご支援を、よろしくお願いいたします。