ハタチ基金の助成先団体のひとつ、NPO法人トイボックスは、東日本大震災後、みなみそうまラーニングセンターを設立し、待機児童問題解消のための保育施設と学習支援や心のケアを行う放課後児童クラブを運営してきました。震災直後から、一人ひとりに合わせた関わり合いを大切に、子どものみならず、保護者の負担を軽減するための活動を続けてきました。
震災から10年を機に、地域や復興のフェーズに合わせて支援の形を拡大していくため、地域住民の方々にアンケート調査を行い、今必要なことを伺いました。その結果生まれたのが、新規事業「Collabo×Station」です。
2021年4月にスタートした「Collabo×Station」では、地域との協働を通じて、南相馬市の「子育て」と「働く」を応援するプログラムを複数展開。どのような事業なのかご紹介します。
■お茶を飲みながら気軽に “新しいチャレンジ”を相談ができる場所に
東日本大震災から10年が経ち、様々な助成金も打ち切られているのが現状で、地域の子どもを支援する事業も、続けたくても続けられない状況に陥っています。さらに、地域のニーズに合わせた支援が必要とわかっても、新たにチャレンジするハードルも上がってしまっています。そのため、自分たちで経営をしながら地域を支えていくにはどういったやり方が持続可能なのか、模索が始まっています。
そこで始めたのが、トイボックス代表理事の栗田拓とお茶を飲みながら気軽に相談できる「事業/まちづくり相談カフェ」です。Collabo×Stationの事業の一つです。
栗田はこれまで、民間企業の役員などを経て、トイボックスを設立。多くの子どもたちや親御さんの支援を行ってきました。南相馬市の状況をある程度知っていて、でも南相馬市在住ではないという程よい距離感もある経営者に相談する気軽な機会として、子育て支援や街づくりなどにご興味がある方を中心にご活用いただく場としてスタートしました。既に利用された方々からは反響をいただいております。
(写真)相談カフェは個室で実施。じっくりと相談することも、フラットに雑談をすることも歓迎しています。
■地域住民にアンケート ニーズに応えた新しい遊び場が生まれる
2020年度に、ハタチ基金の助成を活用し、南相馬市在住の保護者や支援者の方を対象に、子育て環境についてのアンケートを行いました。「南相馬市に、どのような子育て支援事業があるといいと思いますか?」という問いに対し、希望が多かった一つが、「自由遊びのほか、子供の年代に合わせた様々な活動体験ができる場所」でした。
そこで、Collabo×Stationでは、子どもがいきいきと遊ぶことのできる環境づくりを目指して、「プレイパーク南相馬」を定期的に開催することになりました。地域の公園で子ども達が豊かに遊べる仕掛けをプレイワーカーの協力のもとデザインしていきます。
様々な助成金が打ち切られる中、ハタチ基金を通した、多くの皆様の継続的なご支援により、子どもたちの豊かな時間や居場所を作る取り組みができていると実感しています。新規事業も含めた、南相馬市の親子を支えるスタッフの研修も、ハタチ基金を通した皆さんからの支援によって行うことができています。これまでの活動拠点となった、みなみそうまラーニングセンターは2021年3月末をもって閉所し、今回のCollabo×Stationを立ち上げました。形は違えど、地域の親子が求める支援を模索し続けています。
震災から10年を経てもなお、ご支援いただいていることを心よりお礼を申し上げます。一人ひとりの子どもが安心安全を感じながら過ごすことができる環境が必要です。今後も引き続き、地域の親子のニーズにあった活動をして参ります。
新規事業「Collabo×Station」についてはこちら
※原町にこにこ保育園、錦町児童クラブは変わらず運営しております。
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2019.04.08