ハタチ基金の助成対象であるチャンス・フォー・チルドレン(以下CFC)の代表理事 今井悠介さんから、支援者の皆さまへのメッセージが届きましたのでご紹介します。
2019年6月20日をもって、CFCは法人設立8年を迎えました。
多くの皆さまの温かいご支援により、これまで延べ2,500名以上の子どもたちにスタディクーポンを届けることができました。皆さまには、心から感謝を申し上げます。
少し長いですが、法人設立から8年たった今、僕が感じていることについて、お伝えしたいと思います。
■社会に巣立った東北のクーポン利用者1期生
今年3月、CFCの学生ボランティアの卒業式に参加してきました。真剣に子どもたちと向き合ってきた大学生一人ひとりからのスピーチが、本当に胸に響きました。
実は、そのなかの1人に、僕らが8年前、東北被災地で初めてスタディクーポンを提供したときに中学3年生だった子がいました。
その子は、中学3年から高校3年までの4年間、クーポンを使って学習に打ち込み、宮城県内の大学に進学しました。そして、大学4年間、今度はCFCのボランティアとして、クーポンを利用する子どもたちの面談を担当してくれました。
僕が初めて彼女に出会ったときに、「管理栄養士になりたい」と語る姿が印象的だったのですが、4月からは地元の石巻に戻り、管理栄養士として働いているそうです。
8年間、色んな葛藤があったと思います。そんな中、CFCと関わり続けてくれた彼女に感謝の気持ちを持つとともに、彼女が社会に羽ばたいていく姿を見ていて、涙が止まりませんでした。
立派に巣立っていったのは、本人の頑張り、周りの人たちの支え、学校や官民ふくめた諸制度があったからであり、CFCの存在は、その中のほんの一部分にすぎません。それでも、その人生に少しでも関われたのであれば、僕はそれだけでも幸せに思います。
■教育の意味は、長い時間が経たないとわからない
僕は18歳のころから、子ども・若者への教育の活動に様々な形で関わってきました。キャンプや学習支援の現場で子どもたちと接する立場や、最近では事業立案や経営などの立場で関わることが多いです。
でも、活動に関わる思いは、ずっと一環してます。
「教育とは、いつ爆発するかわからない時限爆弾を仕掛けることだ」
これは10年前、僕が大学卒業をするときに、現CFC社外理事の能島さんから贈られた言葉です。
教育を通じた人との出会いや経験が、その人の「学び」となって、価値があるものだったと思える日は、いつ来るかわからないし、その大きさも不確実です。その不確実性が「いつ爆発するかわからない時限爆弾を仕掛ける」という意味なんだと僕は解釈しました(時限爆弾というと語弊があるかもしれませんが)。
子どもとキャンプで過ごす数日間、学習支援で関わる数時間…自分が関われることはほんの僅かで、このわずかな時間にどんな意味があるんだろうと思うことばかりでした。能島さんからの言葉は、そんな自分を救ってくれる言葉でもありました。
僕は、CFCで活動を始めてからも、この言葉はずっと大切にしています。自分の仕事の意味は、長い時間が経たないとわからない。そもそも子どもたちに、短期的なリアクションを求めるものではない。
それでもきっと、いつかは子どもたちがCFCを通じて得た経験や出会いが、人生にとって意味のあるものとなる日がくると心から信じて、取り組んでいます。
■家庭の経済状況に関係なく、子どもたちが学ぶチャンスを得られる社会をつくるために
3月の学生ボランティア卒業式での彼女の姿は、僕がCFCを始めてから8年間信じ続けたことは間違いじゃなかったと、少しだけ実感できた瞬間でもありました。
不安や怖れと向き合い続けた8年間、長く継続しなければその意味が分からないこのCFCの取り組みを、継続的に応援してくださっている寄付者の皆さまの存在には、本当に励まされています。本当にありがとうございます。
私たちの活動の目標は、家庭の経済状況に関係なく、子どもたちが学ぶチャンスを得られる社会をつくることです。
資金不足により800名以上の子どもたちが支援から落選してしまっていることなど、まだまだ活動の課題はありますが、この目標に向かって、これからもスタッフ一同、一歩ずつ着実に歩んでいきます。
支援者の皆さまには、これからも僕たちと一緒に、子どもたちを温かく見守っていただけますよう、お願いいたします。
■ハタチ基金ご支援の方法について
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