2020.03.05
2018年度から、ハタチ基金の助成先に新しくNPO法人キッズドアの事業が加わりました。
宮城県の被災地域における、学習スペースと受験指導の運営です。
東北事業部長の對馬さんに、東日本大震災の被災地でキッズドアが事業を始めたきっかけ、これからの社会に対しての思いなどを伺いました。
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〇キッズドアさんが被災地で子どもの支援を始めたきっかけはどんなことでしたか?
キッズドアはもともと東京で子どもの学習支援などを行ってきました。震災後の2011年4月、東北の子どもたちのためになにかできることはないかと思い、スタッフが沿岸を回っていました。ちょうどその時に、被災した南三陸町戸倉小学校が、内陸の学校を間借りして新学期をスタートしたんです。
学校が再開したとはいえ、各地で避難所生活している子どもたちは、スクールバスなどで通っており、学校以外で友達とお話したり遊ぶ場もなく、震災後の緊張状態によるストレスを発散できずにいる状況でした。
そこで誰かが子どもに寄り添い、話をきく場が必要だと考え、戸倉小学校で子どもたちの学習と遊びを支援する放課後学校を始めたのが、キッズドアの最初の取り組みです。
戸倉小学校での支援実績を信頼していただき、近隣の中学校、高校の支援に取り組みが広がってきました。現在は、南三陸町志津川高校内に学習支援センターを設け、高校生や中学3年生の学習支援などを行っています。
同時に、震災直後から仙台に事務所を設置し、被災地沿岸から引越ししてきた中学校3年生のための受験指導「タダゼミ」を開始しました。寄付を原資に、無料で受験指導を提供する事業です。多くの東北大の学生さんたちが協力を申し出てくれ、今では、居場所機能をもつ自習学習スペース「Sリビング」、芋煮会・合宿研修などの体験活動、保護者からの相談への対応など、様々な活動を行っています。
〇継続的に被災地の子どもの支援をすることで、変わってきたことはありますか?
ここSリビングには3年、4年と継続的に通ってきている子どもが多いです。学校でもなく、家族でもなく、第3の居場所が彼らにとって精神的な安定になっていると感じています。
一方、最近気になることは、発達障害、引きこもり、不登校の問題です。ご両親からの問い合わせや、そうした問題を抱えながらここに通う生徒さんも増えてきています。子どもの支援を行っている他の団体も同じような状況だと聞いています。
〇キッズドアさんが被災地での子ども支援を通して目指す社会の姿はどんなものでしょうか?
被災地をひとくくりに伝えるのは難しいですが、誰かのことを他人事ではなく、自分事として考えられるような社会です。お互いに手を取り合って若者を支援すれば地域が活性化されると思っています。様々な理由で環境に恵まれない子は、周囲のサポートが必要です。それができる社会の仕組みが必要だと考えています。
私たちは学習支援をしていますが、それはきっかけのひとつで、スタッフはその先を見据えて子どもたちに接しています。勉強だけでなく、普段出会わない人と会話すること、経験したことのない体験を幅広くしていくこと。そういったことを通して、子どもは成長していきますよね。10代の時だからこその感動、憧れ、経験にいっぱい出会って欲しいと願っています。
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