勉強する場を奪われた子どもたちに、学べる場を
コラボ・スクール(認定特定非営利活動法人カタリバ)
震災後の課題
震災から7年。ハード面の復興は少しずつ進んではいますが、子どもたちの心のケアは引き続き重要です。
東日本大震災から7年。2011年コラボ・スクールが始まった宮城県女川町と岩手県大槌町では、ようやく仮設住宅で暮らす子どもの数は2割を切りました。しかし、物心つかない時から被災地で育った子どもたち。彼らの心の内にあるストレスは計り知れません。また、2017年から新たに活動をスタートした福島県広野町の子どもたちは、その多くが長い県外での避難生活を経験しており、学習の遅れを取り戻すことと共に心のケアが必要となっています。
被災地での活動
未来をつくり出す力を育むための、心のケアと様々な学習機会を作っています。
震災という逆境を乗り越え、子どもたちの未来をつくり出す力を育むための「学びの場」として、2011年よりコラボ・スクール女川向学館、大槌臨学舎を運営しています。2017年からは双葉みらいラボも加わりました。幼児から高校生まで各年齢に合わせ、心のケアとともに探究的な学びの機会を作り、子どもたちをサポートしています。
【地域に広がる、子どもたちの学びの場】
コラボ・スクールは基礎学力定着のための学習機会にとどまらず、生徒たちの意欲と創造性を育む学びのプログラムにも取り組んでいます。女川では、子どもたちが半年間かけて制作したプロジェクションマッピングを駅の壁面で上映したり、地域の祭りで地元の魚介類を使った創作料理を販売するなど、地域を盛り上げました。
【学校併設型コラボ・スクール「双葉みらいラボ」開校】
福島県立ふたば未来学園高校に併設される形で新たなコラボ・スクール「双葉みらいラボ」が誕生しました。放課後は、学校に隣接された専用施設で、自習スペースと生徒の意欲に合わせた様々な学びのサポートを行っています。また、日中は学校の授業の一つである「未来創造探究」や定期考査のための合宿などの、学校プログラムのサポートを学校と協働して取り組んでいます。
これまでの成果
岩手、宮城、福島の3県で子どもたちの意欲と創造性を育む「探究学習」を実施。
2017年度、女川向学館、大槌臨学舎、双葉みらいラボで、幼児から高校生まで728人をサポートしました(延べ利用者数は約3万4千人)。毎日の教科学習を通じた、目標を持ち達成する力を養うと共に、自分の興味を深めて形にしていく「探究学習」を通じて、子どもたちが未来をつくり出すための意欲と創造性を培いました。また、子どもたちの学びを支えていくための、地域との連携体制がこれまで以上に整いました。
今後のビジョン
地域と連携し、子ども一人ひとりの意欲と創造力を育む。
岩手、宮城では仮設住宅の解消などハード面の復興が進みますが、子どもたちへの内面的な影響は残ると思われるため、子どもたちが安心して過ごすことができる放課後の居場所は必要です。一方、福島では依然として原発事故の終息の見通しが立たず、子どもたちが置かれた環境は厳しいものがあります。子どもたちの心のケアと共に、逆境を乗り越える力を育むための継続的なサポートが必要です。地域との連携体制を発展させながら、一人ひとりの子どもたちの意欲と可能性を高めるプログラムを行ってまいります。
メッセージ:卒業生の声
コラボ・スクールは、勉強する場所という以上に、放課後の時間に友人と語り合えること、スタッフの方の様々な経験談を聞いたり、自分が悩んでいる様々なことに相談に乗ってもらえる場所でした。震災後、何もない町にできたコラボ・スクールは、私にとって新しい居場所でした。今、大学生となり、コラボ・スクールでのあの日々が、自分自身の人生を豊かにしてくれた大切な時間だったと思います。私のように、貴重な経験や出会いにひとりでも多くの子どもたちがめぐり会えることを、心から願っています。
運営団体について
認定特定非営利活動法人カタリバ
カタリバが取り組む社会課題は、「子ども・若者の未来を生き抜く意欲や能力が、生まれ育った環境によって左右されてしまうこと」です。被災や経済的困窮、地域格差など、自分ではどうにもならない事情によって、子どもたち一人一人の可能性が阻まれることがあってはなりません。どんな困難が待ち受けていようとも、この社会を子どもたちが生き抜いていける力。そして、思い描いた未来を創っていける力を、あらゆる子ども・若者に届けることを目指し、全国で様々な事業を行っています。
- 住所
- 〒164-0001
東京都中野区中野5丁目15番2号 - 電話番号
- 03-5327-5667
- Webサイト
- http://www.katariba.or.jp/